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投稿日:2025.11.15.
逆さごと(逆さ事)とは?意味・代表的な作法・地域差をやさしく解説|小さな自宅葬・家族で「つくる」お葬式 おくり火
逆さごと(さかさごと)とは
逆さごととは、亡くなった方をお見送りする場面で、日常と「逆」に行う所作の総称です。
目的は、生(この世)と死(あの世)を区切ること、悲しみの渦中で非日常であることを皆で確認する符号にあります。宗派・地域の違いが大きく、現代では必須ではないものもあります。
代表的な「逆さごと」例と意味
- 左前の着付け(死装束):生者は右前、ご遺体は左前にして着付けます。(生と死の世界を区別する最も一般的な作法)
- 逆さ水:柄杓(ひしゃく)を逆手・逆向きにして清めの水を扱う等、ふだんと逆の所作で「非日常」を示します。地域により方法が異なります。
- 逆さ屏風:屏風を裏向き・上下逆に立てて枕元を囲う古い作法。現在は省略可、行う寺院・地域は限られます。
- 逆さ帯・結び:死装束の帯や結び目を通常と逆にする古習。現代は白装束セットの仕様に倣えば十分です。
- 逆さ靴(地域少数):足袋や草履の左右を逆に置く・結びを逆にするなど、区切りの象徴として伝わる地域もあります。
※ いずれも「必ずしなければならない」決まりではありません。菩提寺の指示とご家族の負担を最優先に。
泉州・岸和田エリアの現場感(実務メモ)
- 必須は「左前の着付け」。湯灌・納棺で専門スタッフが整えます。迷ったら左前だけ押さえるでOK。
- 逆さ水・逆さ屏風は地域差が大。行うかどうかは菩提寺・司式者に確認し、負担になる場合は省略で問題ありません。
- 自宅葬では、作法よりも安全・衛生・導線(線香・火の扱い/近隣への配慮)を優先します。
よくある質問(FAQ)
Q. 逆さごとは宗派の決まりですか?
宗派というより地域慣習の色合いが強い作法です。宗派儀礼(読経・法要次第)とは別軸と考えると理解しやすいです。
Q. すべて省略しても失礼になりませんか?
問題ありません。左前の着付けと、宗派の基本作法(焼香・読経など)が整っていれば失礼には当たりません。
Q. 家族葬・自宅葬でも行うべきですか?
強制ではありません。ご家族の意向・菩提寺の方針に合わせ、無理のない範囲で取り入れましょう。
ご家族向け「迷ったときの判断基準」
- 菩提寺へ確認(必要・任意・省略可の線引きを聞く)
- 負担の見積もり(準備・場所・人手・時間)
- 安全・衛生(火気や水の扱いは最優先で配慮)
逆さごとにこだわり過ぎないことも「ていねいなお見送り」
逆さごとは本来、悲嘆の場に「けじめ」を与える生活文化でした。
現代の家族葬・自宅葬では、故人の人柄やご家族の心身の余裕を大切に、必要なものだけを選び取ることが何よりのご供養です。