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投稿日:2025.11.11.
回向(えこう)とは?供養に込められた“想いを届ける祈り”|小さな自宅葬・家族で「つくる」お葬式 おくり火
回向(えこう)とは?
回向(えこう)とは、自分が行った善い行い(功徳)を、
他の人や亡くなった方のために差し向けることを意味します。
葬儀や法要の場で僧侶が「回向文(えこうもん)」を唱えるのは、
まさにこの“功徳を送る”という行為です。
つまり回向とは、「想いを他者に届ける祈りの形」なのです。
回向の語源と仏教的な意味
「回向」という言葉は、仏教のサンスクリット語 “パリナーマ(pariṇāma)” の訳語です。
これは「方向を変える」「他へ向ける」という意味があります。
仏教では、善い行いを自分だけのものとせず、
他の人や故人にも分け与えることで、より大きな功徳が生まれると考えます。
この考え方が、回向の原点です。
回向の種類
回向には、大きく分けて3つの種類があります。
| 種類 | 意味 | 行う場面 |
|---|---|---|
| 自利利他回向(じりりたえこう) | 自分の修行や善行を他人の幸福にも役立てるという考え方。 | 日々の生活、祈り全般。 |
| 追善回向(ついぜんえこう) | 亡くなった方に功徳を捧げ、冥福を祈る。 | 葬儀・法要・お墓参り。 |
| 還相回向(げんそうえこう) | 仏の世界から再びこの世に戻り、人々を導くという教え。 | 浄土思想や法話などで用いられる。 |
特に葬儀で行われるのは「追善回向」で、
僧侶が「回向文」を唱えることで、故人の成仏と遺族の安寧を祈ります。
回向文(えこうもん)とは?
回向文とは、読経の最後に唱えられるお経の一節です。
有名なものに「願以此功徳(がんにしくどく)」で始まる文があります。
願以此功徳(がんにしくどく)
平等施一切(びょうどうせいっさい)
同発菩提心(どうほつぼだいしん)
往生安楽国(おうじょうあんらくこく)
これは「この功徳をすべての人に等しく捧げ、共に悟りの心を起こし、極楽浄土に生まれましょう」
という意味です。
短い中に深い祈りと慈しみの心が込められています。
回向の流れ(葬儀・法要での例)
葬儀や法要での回向は、以下のような流れで行われます。
- 僧侶が読経を行う(般若心経や阿弥陀経など)
- 最後に回向文を唱える
- 遺族・参列者が合掌し、静かに礼をする
この一連の流れを通して、故人への供養と自らの心の安らぎが生まれます。
泉州・岸和田エリアの風習
泉州地域では、葬儀や法要の最後に僧侶が静かに回向文を唱え、
ご遺族や参列者が一緒に手を合わせる姿が多く見られます。
宗派を問わず「ありがとう」「安らかに」という想いを届ける、
地域に根付いた温かい供養の形です。
まとめ|回向は“想いをつなぐ祈り”
回向とは、故人への感謝と祈りを形にする行為です。
それは同時に、自分自身の心を整え、
「生かされている今」を見つめ直す時間でもあります。
おくり火では、宗派を問わず、
ご希望に合わせた法要や回向の手配も行っております。