引導（いんどう）とは？

引導（いんどう）とは、僧侶が葬儀の中で故人の魂を迷いの世界（現世）から仏の世界へ導くために唱える儀式のことです。
一般には「引導を渡す」と言われ、仏教の葬儀で非常に重要な場面とされています。

つまり、引導とは「故人を悟りの世界へ導くための最後の説法」なのです。

「引導を渡す」という言葉の本来の意味

日常会話では「引導を渡す＝見切りをつける」「終わらせる」といった比喩的な使い方をされることがありますが、
本来は葬儀における仏教儀礼用語です。

「引導」はもともとサンスクリット語の「導く（ニルヴァーナ）」に由来し、
僧侶が仏の教え（法）によって故人を悟りの境地へ導くことを意味します。

つまり、「引導を渡す」とは「仏の道へ導く教えを授ける」ことなのです。

葬儀での引導の流れ

葬儀（告別式）の中で引導は、読経や戒名授与のあとに行われることが多く、
故人の魂を浄化し、仏の世界へと導く大切な儀式です。

1. 僧侶による読経：仏の教えを唱えて故人の魂を鎮めます。
2. 引導文（いんどうもん）の朗読：僧侶が経文の中で故人に語りかけるように説法します。
3. 鐘を鳴らす：引導の節目に合わせて鐘が鳴らされ、仏の世界への導きを象徴します。
4. 最後の合掌：ご遺族・参列者が心を込めて手を合わせ、故人を見送ります。

宗派による「引導」の違い

引導の意味は宗派によって少しずつ異なります。

このように、「引導」はどの宗派でも共通して「導き」「別れ」「安らぎ」の意味を持ちます。

引導の際に唱えられる言葉

曹洞宗では、引導の儀式中に「引導法語（いんどうほうご）」と呼ばれる説法が行われます。
この中で僧侶は、故人の生涯をたたえ、仏の教えに導かれるように語りかけます。

「○○○よ、今まさに仏の道に入る時なり。迷いを離れ、安らぎを得よ──」

このような一言一言が、ご家族にとっても「区切り」となり、
悲しみの中で心を落ち着けるきっかけとなります。

泉州・岸和田エリアでの引導の風習

泉州地域では、葬儀の中で僧侶が「引導文」を読み上げたあと、
ご遺族が一礼し、鐘の音とともに合掌するという流れが一般的です。

また、近年では自宅葬や家族葬の場でも、
お寺のご住職に引導をお願いする方が増えています。

まとめ｜引導とは“仏の世界へのみちびき”

引導とは、故人が迷いから解放され、安らかな仏の世界へ導かれるための儀式です。
その瞬間は、僧侶だけでなく、ご家族や参列者の心にも「別れの区切り」を与えてくれます。

おくり火では、宗派を問わず引導・読経・納棺など、
ご家族の想いに合わせた形で葬儀をサポートしております。

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